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成年後見制度(せいねんこうけんせいど)とは?

民法で認められている能力のひとつとして、行為能力というものがあります。

行為能力とは、ひとりで確定的に有効な契約を締結することができる能力のことです。
ですが、そもそも契約とは何でしょうか。契約とは、簡単に言うなら「約束」のことです。

商品の売買において、売り手は商品を「売ります」と宣言します。これを「申込み」と言います。
いっぽう買い手はその申込みを受けて、「買います」と宣言します。これを「承諾」と言いますが、この申込みと承諾という当事者の意思表示の合致によって成立するのが契約です。
この契約は、民法上は契約書の作成は必要なく、上記のように「申込み」と「承諾」だけで成立するものとされています。

これを専門用語で「諾成契約」と言います。
行為能力とは、この「諾成契約」をひとりで取り結ぶことができる能力のことを指し、基本的には、成年に達した人であれば、誰もが有するとされている能力です。
逆に言えば、未成年者には行為能力はありません。未成年者が諾成契約を取り結ぶためには、法定代理人の許可が必要となります。法定代理人とは、基本的には両親のことです。親の許可なく買った商品については、親が承認しなければ契約は取り消せます。なぜそのような決まりがあるのかと言えば、未成年者は年齢的に経験に乏しく、それゆえにひとりで有効な契約を締結する能力がないとされているからです。

さて、成年後見制度とは、簡単に言うと、上述の未成年を大人に適用する制度と言うことになります。
具体的には、老齢に達して認知症などの病によって、ひとりでは正常な判断ができなくなった人に対して適用する制度です。
つまり、成年に達した大人なのですが、精神上の障害によって、常に事理を弁識する能力を欠くようになってしまったため、その人に代わって後見人と呼ばれる保護者が行為能力について判断を下すのが、成年後見制度です。

この制度は、本人の保護とその自己決定の尊重の兼ね合いから生まれたもので、判断能力の程度に応じて「成年被後見人」「被保佐人」「被補助人」といったふうにランクづけが設けられていて、それぞれ後見人に与えられる効果や権利が異なっています。

たとえば、成年被後見人は重度の認知症などにかかっている人のことで、基本的に法律行為を行なうためには、成年後見人が代理して行なう必要があります。
また、成年被後見人は、事前に成年後見人の同意を得て行なった法律行為でも、成年後見人はその取消しをすることができます。

2016/12/08