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物納制度(ぶつのうせいど)とは?

相続税を現物で納める物納制度

税金は金銭で納めるのが基本です。
しかしそれが難しい場合は現物で納めるという制度があります、これが物納制度です。

金銭で納めるのが難しい場合というのは、基本的には相続税の支払いです。
相続をすると相続税が発生し、決められた期間内に金銭で支払わなければなりません。
銀行預金を相続していれば問題なくできますが、不動産を相続した場合で、相続人があまり金銭の持ち合わせがない場合は困ります。
まず不動産を売ってお金に換え、その金銭で相続税を払うことになります。

しかし土地や建物を売ろうと思っても時間がかかり、すぐには換金できません。
売るための法律上の手続きや、土地の測量なども必要になりますし、売りに出してもすぐに買い手がつくとは限りません。
この性質を、不動産は流動性が低いと言います。

このように金銭で納めるのが難しい時に、税務署長と相談して現物で相続税を納める制度を物納制度と言います。

物納できる財産があり、その中でも優先順位が決まっています。
まず国債と地方債、不動産と船舶、そして社債、株式、投資信託、最後に動産です。
この順番に優先順位がついていて、不動産と動産がある場合は不動産を先に納めます。
国債というのは政府が発行する債券で、政府にお金を貸した証券です。地方債は地方自治体の債権、社債は会社が発行する債券です。

逆に物納できないものは質権や抵当権がついているものや、法律に特別の定めのある財産などです。
質権というのは質屋に入れてお金を借りているものです。抵当権というのはその土地を担保に銀行などからお金を借りている状態です。

また不動産といっても私道や崖のみの土地など、売れそうもないものは物納できません。
物納制度を利用する場合の注意点として、事前の準備が必要であることが挙げられます。

例えば隣家と境界線が明確でない土地は納付できません。
物納する場合は隣の土地との間にフェンスを設置するなどして、境界線をはっきりさせないと税務署は引き取ってくれません。
この境界線の策定には時間も費用も掛かるので注意が必要です。

また物納する土地は道路に面する必要があります。
法律上、道路と接していないと建物を建てられないからです。制度を利用する場合は事前に道を確保する必要があります。

最後に、物納制度というのはどうしてもお金がなくて相続税を払えない人にのみ認められます。
売却すると所得税がかかるから物納したいとか、老後に預金は残しておきたいから物納で済ませるということは認めらません。このような点に注意して制度を利用できるか検討する必要があります。