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秘密証書遺言(ひみつしょうしょゆいごん)とは?

秘密証書遺言を知っていますか?

「遺言」という言葉を聞いたことがある方は多いと思いますが、その「遺言」にいくつかの方式があるのはご存知でしょうか。
遺言は、被相続人の最後の意思を明確にする必要があるため、法律でその要件が厳格に定められています。遺言には以下の種類があります。

普通方式遺言:自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言
特別方式遺言:応急時遺言、伝染病隔離者遺言、在船者遺言、船舶遭難者遺言

特別方式遺言とは、生命の危機に瀕した者が緊急に特別の方法で作成する遺言であり、普通、遺言といったら普通方式遺言の中から様式を選択して作成します。

今回は、普通方式遺言の中の「秘密証書遺言」について見ていきましょう。
まず、作成方法を説明します。

秘密証書遺言を作成するには、遺言者が遺言に署名押印したうえで同じ印鑑で封印し、証人2人以上を連れて公証役場へ行きます。そこで公証人及び証人の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨及び自己の氏名及び住所を申述します。

公証人が、封紙上に、遺言者の遺言書である旨の申述や提出した日付を記載するので、遺言者と証人で封紙に署名・押印します。こうして作成された遺言書は遺言者自身で保管します。

次に、メリットとデメリットを見ていきましょう。

いちばんのメリットは、遺言の「存在」については明らかにしながら、その「内容」を他者に秘密にできるという点にあります。
そのほか、遺言書の偽造・変造の心配がほとんどない点や、自書でなくても作成が可能なためパソコンや代筆でのさくせいが可能である点も挙げられます。

デメリットとしては、公証人を利用するための手間と費用が掛かる点、公証人が遺言の「内容」まで確認するわけではないのでその内容に法律的な不備があったり、紛争の種になったり、無効となってしまう危険性がないとは言えない点、紛失・滅失・隠匿の恐れがある、執行時に家庭裁判所の検認(注1)の手続きが必要な点などが挙げられます。

(注1)遺言書の保管者や、これを発見した相続人は遺言者が亡くなったらすみやかに遺言書を家庭裁判所に提出し「検認」を請求しなければなりません。検認とは、相続人に対し遺言書の存在及びその内容を明確にして、偽造・変造を防止するための手続きです。遺言の有効・無効を判断する手続きではありません。

以上のように、作成方法からメリット・デメリットを見てきましたがいかがでしたでしょうか。
秘密証書遺言はその内容を遺言者のみが知る形式となっているため、せっかく遺言を作成したにもかかわらず無効になってしまったということがないよう作成前に十分要件を確認したうえで作成に当たることをお勧めします。

2016/09/24